しわの治療で「成長因子を注射する」と勧められた方へ。皮膚の傷に吹き付ける薬「フィブラストスプレー」を、美容目的で皮膚の下に注入した後、しこりなどの健康被害が報告されています。
製造販売元の科研製薬は、この薬を体内へ注入する使い方では、効果と安全性が確立していないと注意を呼びかけています。日本美容外科学会(JSAPS)が10月15日に掲載した資料で、確認すべき核心はここです。
「国に承認された薬を使います」という説明だけでは、しわ取りの注射として承認されていることにはなりません。予約を決める前に、使う薬の製品名と、注射するのか皮膚の表面に使うのかを医師に確かめてください。
傷に吹き付ける薬を、しわ取りの注射に使うことへの注意
学会の掲載日は2026年10月15日です。添付された科研製薬のニュースリリースは9月10日付で、適正使用のお願いは6月の資料です。今回の学会掲載は、以前から出されている適正使用の注意を改めて知らせるものです。薬の新しい効能が認められた発表ではありません。
この薬の承認された用途は、褥瘡(床ずれ)や皮膚潰瘍(皮膚が傷つき、ただれや欠損ができた状態)の治療です。傷の表面へ吹き付けて使う外用薬で、しわを改善するために注射する薬として承認されたものではありません。
メーカーは、美容目的で皮膚の下に注入する使い方に加え、自分の血液から作るPRP(多血小板血漿)に、この薬の有効成分であるbFGFを加えて注入する使い方も挙げています。bFGFは細胞の増殖を促す「成長因子」の一つです。注意の対象は、こうした承認外の使い方に伴う健康被害です。
「何という薬を、どこへ、どう使うか」を聞く
「フィブラストを、しわの改善のため皮下へ注入する」と説明された場合を仮定した照合例です。
| 欄 | 承認内容 | 説明された内容(仮定) |
|---|---|---|
| 製品 | フィブラストスプレー | 同じ製品 |
| 目的 | 床ずれ・皮膚の潰瘍の治療 | しわの改善 ←異なる |
| 方法 | 傷の表面に吹き付ける | 皮膚の下に注射 ←異なる |
製品名だけで「承認された施術」と判断しない
↓
目的・方法が異なる欄を示し、根拠・リスク・代替手段を医師に確認する。
メーカーの記載を基にした編集部作成の照合例。注入の有効性・安全性は確立されていないと通知されています。
たとえば相談時には、「その製品の承認された目的・使い方と、今回の施術は同じですか。異なるなら、どこが違い、どのような根拠とリスクがありますか」と聞けます。製品名だけで終わらず、使う目的・方法まで聞くと、通知との関係が分かります。
PRPという名前が付いている場合も、血液由来の成分だけなのか、別の薬剤などを加えるのかを確認します。今回の資料から、すべてのPRPやすべての成長因子製品について同じ結論を出すことはできません。製品名と使い方が分からないまま、別の施術の安全性説明を当てはめないことが大切です。
すでに受けた人は、記録を手がかりに相談する
施術を受けた後に不安がある場合は、施術日、部位、分かる範囲の製品名・追加成分、症状があればその経過をまとめ、施術した医療機関へ相談してください。資料が手元にないときは、まず何を使用したかの確認を依頼できます。自分でしこりを処置したり、ネット上の情報だけで薬の使用を変更したりしないでください。
相談では、「私が受けた注射には、フィブラストスプレーや、その有効成分を追加しましたか。この通知に関係する治療でしょうか」と尋ねられます。医療機関の説明で分からなかった点は、そのまま残して質問して構いません。
一次資料
確認日:2026年10月20日。比較表は、通知の承認内容を基に編集部が作成しました。


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